「ヤクルトから戦力外通告を受けた時点で現役ではない」 2018年最優秀中継ぎ投手の近藤一樹が明かした「引退宣言」をしない理由 (2ページ目)

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi
  • photo by Sankei Visual

【どこからもオファーがないこと、それが現実】

 近藤の口調は淡々としていて、冒頭で紹介したように、「どうしても現役続行を」というギラギラした思いは感じられない。どこか達観したような口調で、率直な思いを口にしている姿が印象的だった。では、現役続行は半ば断念しているにもかかわらず、自らの去就について積極的に発言しようとしないのはどうしてなのか。

「僕が、現役を続けるとか、もう引退するとか、それをわざわざ宣言する必要ってないと思いませんか?」

 本人による「現役続行宣言」があれば、戦力補強を考えている球団にとっては、獲得に向けての調査対象となるだろう。「引退宣言」があれば、指導者や評論家としての新たな分野でのオファーもあることだろう。そして、彼の雄姿に声援を送っていたファンとしては、「近藤選手の今後はどうなるのだろう?」とヤキモキしているに違いない。いずれにしても、「去就を表明すること」には何らかの意味があるのではないだろうか。

「なるほど、確かにそうかもしれないですね。僕も、『絶対に宣言しない』と決めているわけではないんです。ただ、『わざわざ表明する必要はないだろう』という思いは持っています。だって、僕は2020年オフにヤクルトから戦力外通告を受けているわけです。戦力外になった時点で、それはほとんど"引退"ということだと思うんです......」

 そして、近藤は意外なことを口にした。

「......たとえば、何も結果を残せずに高卒5年目で戦力外通告された選手は、わざわざ引退宣言なんてしないじゃないですか」

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