「岡田彰布が率いる阪神はやるぞ」。広岡達朗が来季の優勝候補筆頭にタイガースを挙げるこれだけの理由 (2ページ目)

  • 松永多佳倫●文 text by Matsunaga Takarin
  • photo by Sankei Visual

「一塁に大山、三塁に佐藤を固定するのは大賛成だ。というより、なぜ今まで固定化してこなかったのかが不思議でならない。今シーズンの失策数は12球団ワーストタイ(86個)らしいが、それはいろんな選手に複数のポジションを守らせたからだ。ポジションを固定して指導すれば、練習時間も増え、自ずと失策数は減る。

 岡田は内野の守備陣形にこだわっているし、一塁に誰を置いたらいいのかの意味をしっかり考えている。2005年に広島からアンディ・シーツを獲った時もすぐに一塁に固定し、打撃に専念させた。佐藤に三塁を守らせたいというより、大山を一塁にコンバートしたかったのではないだろうか」

 広岡はかねてから、佐藤の守備の固定を口酸っぱく言ってきた。オーソドックスと言われようが、投手陣を含めた守りの野球こそが、優勝への一番の近道であるからだ。

「以前、岡田がショートなら捕球の際、右足を斜めうしろに引いて捕るというようなことを言っていたが、そんなことに気をとられていたらプロの速い打球は捕れない。深い位置は逆シングルで捕ったほうが理に適っているという指導者もいるが、どれだけ正しい理論だと思っていても、うしろに弾いてエラーすることが間違っていると思わなきゃダメだ。

 肩はボールに対してグラブと同じように直角になるように捕球することが重要で、打球方向やその場の状況で右足が前にいこうか、うしろにいこうがいいんだ。常にボールに対してグラブを直角にし、飛んでくるボールと両肩のラインも直角で捕球する姿勢を保っていれば、無理な体勢になれば自然と逆シングルになるものなんだ。最初から逆シングルの練習をするのは馬鹿げている」

 広岡の理念は一貫しており、「絶対に基本を疎かにするな」である。革新的なメジャー方式の科学トレーニングが導入されようとも、ゴロを捕るという野球の基本姿勢は古今東西変わることはないと自負している。

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