広岡達朗が提案する巨人再建計画「落合博満をヘッド兼打撃コーチとして招聘してこそ劇薬だ」 (2ページ目)

  • 松永多佳倫●文 text by Matsunaga Takarin
  • photo by Koike Yoshihiro

 一軍打撃コーチだった3人(村田修一、金杞泰、横川史学)はすでに退任が発表され、ある意味、目玉人事として大久保が招聘されるという。

 大久保といえば、西武で打撃コーチを務めた際、アーリーワークを導入して若手選手の底上げを担い、2008年の日本一に大きく貢献。その後、その手腕を買われて2012年に楽天の一軍打撃コーチに就任し、二軍監督を経て、一軍監督を歴任。キャリアはもちろん、個性を伸ばす指導にも定評があり、巨人の打撃陣がどう変わっていくのか楽しみである。

 それでも広岡は、大久保には荷が重いと語る。

「大久保にしたって"劇薬"だというが、はたして本当にそうなのか。西武時代に中村(剛也)を育て、楽天の一軍監督になった実績があろうとも、常に優勝を義務づけられている球団での指導はまた別だ。イチかバチかの劇薬で大久保を呼ぶという魂胆は浅はかすぎる。劇薬というのなら、落合博満をヘッド兼打撃コーチに呼ぶくらいじゃないと、本当の意味での劇薬にはならん」

原監督にモノ言える首脳陣が必要

 広岡は目先の変化ではなく、抜本的な改革が必要だと説く。

「原は自分にモノを言ってくる年上の実績あるコーチを起用しない。コーチ陣を大刷新と言っているが、結局、今までと同じやり方。今の巨人のコーチ陣を見ても、どいつもこいつも中途半端。唯一、見どころがあるのは川相ぐらい。川相が現役の時、当時二軍コーチだった須藤(豊)から『ちょっと見てほしい』と言われて、教えたことがある。そういった縁もあって、川相が二軍監督の時も何度かアドバイスしたことがある。川相は現役晩年、中日でプレーしたり、二軍でも指導者をやったり、巨人に戻ってくる前は評論家としても活動するなど、いろいろな経験をしているからな。原にモノを言えるのは川相くらいしかいないだろうが、はたしてそれができるかどうかだ」

 いつもは監督だけでなくコーチにも厳しい広岡だが、川相だけは指導者としての資質があると認めている。

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