中日を襲った4番と監督のトラブル。「金正日やフセインが監督になったら...」 (2ページ目)

  • 高橋安幸●文 text by Takahashi Yasuyuki

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 これは強打者の江藤慎一を筆頭に日鉄二瀬で自ら鍛え上げた選手、もしくは九州のノンプロで活躍した選手を重用したことによる。そのはっきりとした色に反発した主力選手たちが森さん言うところの「反乱軍」で、濃人監督に干され、嫌われ、最終的にトレードで放出された者もいた。森さんもその一人だったと思われるが、何か別のきっかけがあったのだろうか。

「いや、最初は嫌われたわけじゃないんだ。きっかけはあった。まず監督が歩み寄ってきた。それはねえ、まったく人間の感情は微妙だなあと思って、いまだにわからないところがある。だって、監督は東京のオレの家まで来てね、それも先におふくろに会ってさ、こう言ったんだ。
 
『じつは今度、わたしは中日の監督になったんだけども、お母さん、わたしはね、森君の情熱を買って、ぜひキャプテンになってもらいたい』と頼み込んだんだから。で、オレは『わかりました』とは言ったんだけど、そのあとにこう言っちゃった。『これは大変ありがたい話だけども、オレはあんまりそういうのは好きじゃねえんだ』とね」

 嫌うどころか、濃人監督は森さんの実力とリーダーシップに期待していたようだ。それがなぜ、逆の展開になったのかと問えば、森さん自身、チームの先輩たちを押しのけてキャプテンになるという部分が気がかりで、素直に要請を受けられなかったのだという。

 そこで、チームメイトと会食しながらの話し合いを持ちたい、と提案した上で名古屋へ向かう。ここまではよかったのだが、会食の日、宿舎にいる森さんを迎えに来た同僚から意外な話を耳にする。

「車の中でね、『森さん、あれは何か企みがあるみたいだよ』と言う。『なんだい?』と聞いたら、『監督曰く、森は気ままな男だから、キャプテンにすれば少しは大人しくなるだろう、と。キャプテンの責任を感じて無茶なことはしなくなるだろうから、ということだった』と言うんだよ。こっちは『とんでもねえことだ。何言ってんだ。オレを型にはめるつもりか!』っつってね」

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