真中満が選ぶ現役時代の "最恐ピッチャー５人" 。「『来たっ！』と思って振る。でも、バットの軌道はボールの下なんです」 (2ページ目)

上原浩治ーー精度の高いフォークボールは厄介だった

ーーそうなると、「フォークボール最恐ピッチャーは大魔神・佐々木投手」ということになりますか？

真中　もちろん、佐々木さんのフォークはすごいんだけど、個人的に「すごいフォークだな」と思ったのは上原浩治（元巨人など）ですね。上原の場合はコントロールがすごくいい。フォークの精度がすごく高いんです。普通のピッチャーの場合、フォークボールを投げる時は「ホームベース上で落とそう」とするものなんですよ......。

ーーでも、上原さんの場合は違うんですか？

真中　全然違うね。彼の場合はホームベースの右サイド、左サイドに投げ分けることができるんです。普通のピッチャーは、そこまで投げ分けることはしないからね。上原だけが特別でしたよね。......ただね、ここまで名前を挙げた藤川にしても、上原にしても、いいピッチャーだけど、「恐い」というわけではないんですよ。あっ、今話していて、本当に恐いピッチャーを思い出しましたよ（笑）。

ーー「本当に恐いピッチャー」とは誰でしょう？

真中　中日にいた山北茂利ですね。左のリリーフピッチャーだった山北。彼のボールは本当に恐かったな。

ーーどのように恐いんですか？

真中　左バッターに抜けてきそうな恐さ、荒れ球の怖さがあるんですよ、山北には。ボールのスピードとか、インコースを厳しく攻められる恐さではなく、デッドボールを食らいそうな恐さ。左バッターに恐怖心を与えるいいピッチャーだったと思いますね。対戦するほうはとてもイヤだったけど（笑）。このタイプのピッチャーは広島にもいたなぁ......。ほら、広池浩司ですよ。

ーー立教高校、立教大学でキャプテンを務め、全日空入社後に入団テストで広島入りした変則サウスポーの広池浩司投手ですね。確かに山北投手とタイプは似ていますね。

真中　広池も同じようなタイプでしたね。ローテーションの谷間で先発はあるし、左バッターのワンポイントもあるし、いろいろな場面で起用されていたけど、手が長くてボールが抜けてきそうで、左バッターとしてはイヤなピッチャーだったなぁ。あと、左ピッチャーでイヤだったのは阪神のジェフ・ウィリアムスかな？　背中から曲がってくる感じのスライダーもイヤだったけど、そもそもストレートもスライダーも球速があって、「左対左」としてはお手上げ状態だったな。

インタビューに応じる真中氏　photo by Sportivaこの記事に関連する写真を見る