鈴木誠也のポスティング移籍がもたらす「不吉なデータ」。好調カープは抗えるか? (4ページ目)

  • 水道博●文 text by Suido Hiroshi
  • photo by Getty Images

青木宣親(ヤクルト/2011年成績:打率.292、4本塁打、44打点)
移籍前(2011年)=70勝59敗15分(勝率.543/セ・リーグ2位)
移籍後(2012年)=68勝65敗11分(勝率.511/セ・リーグ3位)

中島宏之(西武/2012年成績:打率.311、13本塁打、74打点)
移籍前(2012年)=72勝63敗9分(勝率.533/パ・リーグ2位)
移籍後(2013年)=74勝66敗4分(勝率.529/パ・リーグ2位)

大谷翔平(日本ハム/2017年成績:打率.332、8本塁打、31打点)
移籍前(2017年)=60勝83敗(勝率.420/パ・リーグ5位)
移籍後(2018年)=74勝66敗3分(勝率.529/パ・リーグ3位)

筒香嘉智(DeNA/2019年成績:打率.272、29本塁打、79打点)
移籍前(2019年)=71勝69敗3分(勝率.507/セ・リーグ2位)
移籍後(2020年)=56勝58敗6分(勝率.491/セ・リーグ4位)

 岩村や西岡が抜けたチームは、Aクラスからまさかの最下位という結果になった。また、翌年はなんとか持ちこたえたとしても、じわじわとボディーブローのように効いてきて、2年後に最下位となるケースもある。イチローが抜けたオリックス、青木が抜けたヤクルト、筒香が抜けたDeNAがそれにあたる。

 冒頭でもふれたが、ポスティングは選手として「脂が乗りきっている」時期での移籍がほとんどだ。首位打者や70打点以上を叩き出すような技術的、チームの精神的支柱となる選手の代わりは、なかなか見つからないことは過去の例が実証している。すなわち、チームの中心的存在となる野手については「余人をもって代えがたい」ということだ。

 2021年の広島はセ・リーグ4位だったが、チーム打率はリーグトップの.264をマーク。はたして、鈴木が抜けたことでどこまで影響が出るのか。

 ここまで(4月5日現在)10試合を消化して7勝3敗で2位、チーム打率.265は堂々のトップだが、先週は中日に3連敗を喫するなど、まだまだ予断を許さない状況である。ルーキーの末包昇大や5年目の中村奨成らが、鈴木の抜けた穴を埋められるのか。興味深いところである。

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