藤本博史監督「当然、非情にならないといけない」。ホークスを知り尽くす男が世代交代とV奪回を目指す (2ページ目)

  • 田尻耕太郎●文 text by Tajiri Kotaro
  • photo by Koike Yoshihiro

── 若手の頑張りに、早くも「藤本カラー」が発揮されたのではないかと思っています。

「昨年、二軍で一緒にやっていた選手が多いからね。自分のことをアピールしようという姿勢がより伝わってきましたよね。でも開幕が近づくにつれて、ふるいにかけられる選手は出てきます。そこは結果でアピールしてもらうしかないし、内容もしっかり見てあげたい。それでも野手ならば、キャンプのA組メンバーのなかからも7、8人は二軍へ行かなくてはいけない。やはりこの世界は競争です。ベテランも、中堅も、若手も関係なく、アピールをしてもらいますよ」

リチャードへの期待

── そして藤本ホークスの目玉といえば、やはりリチャード選手ではないでしょうか?

「彼もキャンプはB組でしたが、調子が悪いからではなかった。本来はA組にいる選手なんです。打撃の状態も、去年に比べたらはるかにレベルアップしている。ファンのみなさんもすごく注目しているでしょうし、今年は期待していただいていいと思います」

── 昨年までとの違いは?

「インコースのさばき方など、技術面で成長を感じますね。それに引っ張りだけじゃなく逆方向にしっかり打つ意識があるし、芯で捉える確率も上がっている。でも、精神面はね(苦笑)。三軍監督時代の3年前からずっと彼を見ていると、以前よりだいぶ強くなってきてるんですけどね。でも、まだまだ強くならないと1年間、一軍で野球をするのは厳しい」

── リチャード選手をはじめ、就任会見でも選手に「寄り添う」指導を大切にしてきたとおっしゃっていました。

「やっぱりみんなに頑張ってほしいですからね。でも、全員が一軍に残れるわけじゃない。非情にならなくていけないところも出てくる。そこは非情になりますよ」

── 正直、非情になる藤本監督が想像つきません。

「二軍や三軍では非情になる場面がなかなかないですから。でも一軍は、勝つためのメンバーを揃えなくちゃいけない。そして、そのなかで世代交代もしなくちゃいけない。ならば当然、非情にならないといけない。その覚悟も決めています。そのかわり、(一軍などから)外れる選手には、僕の口からしっかり説明をしてあげたいと思います」

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