空耳で起きた謎のスタメン、もうひとつの「ヘディング事件」など。まさか!が起きたプロ野球珍記録の数々 (2ページ目)

  • 小林 悟●取材・文 text by Kobayashi Satoru
  • photo by Kyodo News

●ビッグボスが生んだNGワード

 記録にはならないが、野球ファンの心に残る珍記憶もある。先に登場した新庄は今シーズンから日本ハムファイターズの監督となり、開幕前から「インタビューで『そうですね』は禁止」「優勝なんて目指さない」など発言が注目されていた。いまだに語り継がれるのは、ある発言から生まれたエピソードだ。

「新庄さんが阪神時代の1999年9月10日に行なわれた巨人戦。8回裏に決勝のホームランを打ってお立ち台に立った新庄さんが『明日も勝つ!』と高らかに宣言......とここまではよかったのですが、翌日からまさかの12連敗。それ以来、『明日も勝つ』と言うと負けるという話があります。。いまでも球界では、『明日は勝つ!』はNGワードという不文律になっている??」

●謎の選手交替の裏に何が?

 2009年7月5日、千葉ロッテマリーンズの三塁手として出場したのは、レギュラーの今江敏晃(現・今江年晶)でなく、堀幸一だった。三塁手として約2年ぶりの先発メンバー起用。期待に応え、堀は第1打席で犠牲フライを放ち、チームに追加点をもたらした。が、そのあとに今江と交替。

「なぜスタメンが堀さんだったのか? すぐに今江さんと交替したのは負傷? など傍目からは謎だらけの交替劇でした。そのあとわかったことですが、バレンタイン監督(当時)は最初から今江さんを起用するつもりだったのです。当時、今江さんは『ゴリ』という愛称で呼ばれていたんです。監督が『ゴリ』と告げたのを、西村徳文コーチが『ホリ』と聞き取ってしまい、そのままスタメン表に記入。まさかの空耳起用だったというわけです」

●誕生のチャンスが2度も、幻の球団「コンドルズ」

 球団の愛称には動物の名前が使われることが多いが、1947年に南海ホークスが誕生した際に有力な候補だったのが「コンドル」だったという。獰猛で、強く、速く羽ばたくイメージ。南海の社章が羽の生えた車輪であることも考えると球団名に相応しいように思える。

「親会社の南海電気鉄道が『混んどる』のは電車がお客さんでいっぱいで景気がいいという関西人らしい発想で、コンドルズで決まりそうだったのですが、日本語に直すと『ハゲワシ』になる。ちょっと待て、南海の社長さんはハゲてるし、これはマズいぞ、と最終的にホークスになりました。この珍エピソードは球団史にも記載されているそうです。似たような噂が別の球団にもあります。1950年、ヤクルトスワローズの前身、国鉄スワローズが誕生する時には逆に『混んどる』を避けて『座ろう』のほうが快適だということでスワローズに決まったとの話がありましたが、これはデマ、いわゆる都市伝説のようです。正確には、戦前からの特急つばめ号にちなんでツバメがモチーフになったそうです」

2 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る