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NPBで輝いたセカンドの名手たち。現役唯一のゴールデン・グラブ・レジェンズとなった菊池涼介の「見えないファインプレー」 (3ページ目)

  • 水道博●文 text by Suido Hiroshi
  • photo by Koike Yoshihiro

 打球を追う脚力、グラブさばき、グラブに収まった打球を素早く持ち替える技術、送球コントロールと、すべてを兼備している最強の二塁手である。プロ野球の元審判で、29年のキャリアを誇った佐々木昌信は菊池の守備について、こう証言する。

「ほかのセカンドと明らかに異なる特色は、ポジショニングです。バッターやピッチャーによって変えているし、カウントによっても変えています。そこが、どこからともなく現れる"忍者"の異名をとる所以ではないでしょうか」

 そして試合中、佐々木審判と菊池との間でこんなやりとりがあったという。

「菊池選手、このあたりに打球が飛んでくるという前提なわけですよね。私は前に行ったほうがいいですか? うしろに下がったほうがいいですか?」

「今うしろにいますが、ピッチャーが投げたら前にダッシュします。だから、うしろに下がっておいてもらえませんか」

 逆をつかれることもあったというが、予想が当たった時は、難しい打球を普通のイージーゴロのようにさばいていたという。まさに「見えないファインプレー」こそ、菊池の本当のすごさなのかもしれない。

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