2022.02.15

中日・根尾昂、4年目の正念場。レギュラー奪取のカギは会心の一打よりもポテンヒットだ

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Koike Yoshihiro

 以前、根尾昂の取材で、大阪桐蔭のグラウンドに訪れたことがある。選手たちは打撃練習の真っ最中で、代わる代わるゲージに入って、バッティングを繰り返していた。

 打ち終わり、次の順番が来るまでの間、選手は互いに自分のバッティングについて他者に意見を求め、アドバイスに耳を貸す。そんな小さなディスカッションがそこかしこで行なわれている光景を見て、これが大阪桐蔭の強さなのか......と妙に納得したものだ。

 そんななか、ひときわ熱心に意見を求めていたのが根尾だった。キャプテンの中川卓也(現・早稲田大)や山田健太(現・立教大)と積極的に話している姿が印象的だった。

プロ4年目を迎えた中日・根尾昂プロ4年目を迎えた中日・根尾昂 この記事に関連する写真を見る  バットの振り出しの角度、インパクトでの手首の使い方......イメージする形をつくりながら、納得のいくスイングを探しているように見えた。

 そんな根尾を見て、「きれいに打ちたいタイプなのかな......」と思った。いいフォームで打てば、いい結果がついてくる。そういう思考回路で、自分のバッティングを構築しようとしているようだった。

【追い求めてきた理想のスイング】

 飛騨高山ボーイズ(岐阜)時代から「スーパー中学生」と注目されていただけなく、学業優秀な選手としても知られていた。何事も理詰めで追求して、頭で納得して解決してきたのではないか。

 ご両親とも医者の環境で生まれ育っただけに、「まあ、いいや......」とうやむやにしてやり過ごすことがなかったのだろう。だからこそ、納得するまで繰り返し、理想のスイングを追い続けてきた。

 たしかに、バッティングゲージに戻ったあとの根尾は、連動性と流動性を兼ね備えた、思わず見とれるような滑らかなスイングで快打を連発していた。

 昨年の暑い盛りだった。ウエスタンリーグの試合を、ナゴヤ球場で見る機会があった。

 根尾は「1番・レフト」で起用されていたが、5打席ノーヒット。外野に打球は飛ぶのだが、そこから最後の伸びがなく、失速してしまう。「とらえた!」と思った打球がこれだから、見ていてもどかしかった。