セ・リーグの新人王は誰か。解説者5人がそれぞれの見解で最有力候補を選んだ (2ページ目)

  • スポルティーバ●文 text by Spoirtiva
  • photo by Koike Yoshihiro

藪恵壹氏(元阪神など)

 佐藤輝明(阪神)が新人王を獲るには、30本塁打がひとつの基準になるんじゃないかと思っていました。実際、シーズン当初のペースならクリアしていたでしょうし、キヨさん(清原和博)の新人最多本塁打記録(31本)も抜く勢いでした。しかし、59打席連続無安打はあまりにも痛かった。二軍落ちも経験して、試合に出ない日も多かったですし、ちょっとイメージが悪いですよね。

 そうなると栗林良吏(広島)が大本命になるでしょうね。ここまで33セーブも立派ですが、防御率0点台というのは驚異的です。それに東京オリンピックの活躍もありましたし、シーズンを通して安定した活躍も印象がいい。票は集まるでしょうね。

 ダークホースは中野拓夢(阪神)です。打率は.2741で、盗塁27はリーグトップ。佐藤とともに今シーズンの阪神の快進撃を支えたひとりですし、チームにフィットしたという点では佐藤よりも上でしょう。失策は17とリーグワーストですが、それでも長年固定できなかった阪神のショートストップの座を射止めたということは高く評価してもいいと思います。

秦真司氏(元ヤクルトなど)

 栗林良吏(広島)が頭ひとつ抜けているように思います。成績もさることながら、投球内容がすばらしい。栗林のいいところはストレートが強く、フォークのキレもいい。しかも、ストレートと同じ軌道からストンと落ちるから、バッターは見極めが難しい。ウイニングショットを持っているピッチャーは強いですし、栗林のピッチングは新人らしからぬ落ち着きがあります。

 栗林を追うのは、牧秀悟(DeNA)と奥川恭伸(ヤクルト)です。牧はサイクル安打も記録しましたし、とくに9月以降の活躍が目立っています。本塁打も20本以上放ちましたし、もし3割に到達することがあれば、逆転するかもしれないですね。

 奥川についてはヤクルトが優勝すれば......という条件つきですが、この勢いだと可能性は十分あると思います。ここまで大事に使われながらも、16試合に登板して9勝3敗。とにかく制球力とリズムがいい。次の登板で2ケタに到達することがあれば、さらにチャンスは出てくると思います。

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