高木豊が語るセ・リーグ優勝争い、阪神より巨人が有利な理由。ただし「ヤクルトも乗ったら本当に怖い」 (2ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • photo by Sankei visual

――2015年のセ・リーグは歴史的な大混戦(7月には、6チームが勝率5割を下回るという史上初の珍事も発生)となり、最終的にヤクルトが優勝しました。その要因のひとつにブルペンの充実度もあったと思います。リリーバーの安定感もポイントになりそうですか?

高木 野球でもっとも大事なのは投手力ですからね。阪神は今のところ万全で、ヤクルトもそれほど故障者がいません。巨人は菅野(智之)と中川(皓太)がいつ戻ってこられるかがポイントになります。この2人がしっかりと働いてくれるのであれば、ひとつ抜けるかなという気はします。

――阪神は、ラウル・アルカンタラ投手をリリーバーに配置転換しました。制球を乱して崩れていくタイプではなく、三振も取れます。この方針についてはいかがですか?

高木 いいと思います。アルカンタラが入ったことによって、7回を及川(雅貴)に任せるのか、岩崎(優)や岩貞(祐太)にするのか。いずれにしても阪神のリリーバーは充実していますよ。7回以降を固められたらという配置転換ですから、6回を投げられるだけの先発投手の駒も充実しているということですよね。

 ただ、打線には佐藤(輝明)と中野(拓夢)とルーキーが2人いる。ここまで十分な活躍をしていますが、優勝争いになった時は経験値がモノをいうので、そのあたりがどうなるかなと。巨人は2年連続でリーグ優勝していますし、優勝争いの経験値が高いです。成熟したレギュラーがたくさんいるという強みがあります。

――そう考えていくと、巨人が有利?

高木 そうですね。前半戦あれだけ故障者を抱え、エースも不在だった中で、首位の阪神に2ゲーム差で折り返したわけですから。原(辰徳)監督のやりくりも見事でした。今のメンバーがしっかりと固定されて故障者が出なければ、じりじりと巨人が力を発揮してくると思います。

 一方で、阪神は絶好調だったんですよ。だけど、前半戦を終わった時、結果的に2ゲーム差しかつけられませんでした。一時期は8ゲーム差ぐらいありましたよね。それを詰めてきた巨人は、やはり実力があります。

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