DeNA牧秀悟、「プロの壁」からのV字回復。不振を救った先輩3人の貴重なアドバイス

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Getty Images

「前半戦、打点がもう少し欲しいなと思いましたけど、トータルとしてはすごくいい感じだったと思っています」

 81試合出場、打率277、38打点、12本塁打。ルーキーイヤーとしてスタートした今年、前半戦を振り返って横浜DeNAベイスターズの牧秀悟は、自信に満ちた表情で、そう語った。

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 中央大学からドラフト2位でDeNAに入団したルーキーはキャンプで頭角を現し、オープン戦で結果を出した。目標だった開幕1軍入りを勝ち取り、3月26日、巨人との開幕戦では、3番ファーストでスタメンに名を連ねた。

 三浦大輔監督からは「ルーキーなんだから思い切りいったれ」と気合を入れられた。三浦監督と牧自らの初陣となった巨人戦、投手は球界のエース菅野智之だった。気持ちを燃やして打席に入ったがエースの凄みのある投球に圧倒され、4打数無安打に終わった。

「ここまで、いろんなピッチャーと対戦してきましたが、一番すごかったのが開幕戦で対戦した菅野さんでした。まっすぐの強さもあるんですけど、変化球の精度がすごかった。ゲッツーを取りに行く時は、そういう配球でくるのがわかっているんですけど打てなくて‥‥。しかも途中までまっすぐに見えて、最後に急激に変化してくるんですけど、その変化球の精度とスピードが今までのどの投手とも違いました」

 開幕戦の4打席につづき、第2戦も3打席までノーヒットがつづき、プロの厳しさを味わった。だが、8打席目でプロ入り初ヒットを打つと、3戦目は4打数3安打と初の猛打賞をマークし、自信を深めた。つづく31日のヤクルト戦でプロ入り初ホームランを打つと、調子は右肩上がりになった。3、4月は、打率288、22打点、6本塁打とルーキーとしては上々のスタートを切った。ところが、5月に入ると打率265、6打点、3本塁打と数字が落ちた。

「4月までは自分が想像できないぐらいの成績を残せたんですけど、4月後半から5月に入ると打撃不振といいますか、打てなくなりました。ルーキーだったので、最初は相手が自分のデータを持っていなかったと思うんですけど、打席を重ねるうちに打てる球、打てない球がはっきりしてきて、そこでかなり研究されたと思います。自分も配球を考えすぎてしまって、焦りから変な球に手を出すようになって‥‥その頃は迷っていました」

 プロ入りして初めての壁――。

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