理論派・秦真司が選ぶ侍ジャパン最強布陣。佐藤輝明は何番で起用? (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Koike Yoshihiro

 坂本は右手親指骨折で離脱中、鈴木誠はコロナ陽性判定後に実戦復帰したばかり。それでも、欠かせない人材として入れました。坂本は打撃だけでなく守備の能力も高いですし、鈴木誠は侍ジャパンの4番の経験もあり動かしたくありません。また、両選手とも貴重な右打者であり、打線のバランスからも不可欠の人材でした。

 メイン会場が横浜スタジアムなのもポイントです。故障さえなければ若林楽人(西武)を選びたいところでしたが、狭い球場なのでさほど広い守備範囲は必要ではありません。むしろ長打を打てる打者を選んだほうがいいと思い、ルーキーの佐藤を入れました。佐藤は横浜スタジアムでの場外弾が記憶に新しいですが、球場との相性は絶対にあると思います。いいイメージを持っている選手を選ぶことも大事なことです。

 正捕手は甲斐の代わりは見当たりません。キャッチング、スローイング、ブロッキング、洞察力と捕手として重要なすべての要素において抜けています。彼が低めのボールを止めてくれる、ランナーを足止めしてくれる......それだけで投手は安心して投げられます。侍ジャパンでの経験も豊富で、さまざまな投手のボールを受け慣れている点もプラスです。甲斐がマスクを被るだけで、試合は安定するでしょう。

 サポート役の捕手としては、梅野に期待したいです。得点圏での勝負強い打撃に加え、好調の阪神で精神的な状態のよさも日本代表に生かしてもらいたいです。

 私はロサンゼルス五輪に出場した経験がありますが、JAPANのユニホームを着るだけで重みを感じるものです。選手としては相手を圧倒して、派手な勝ち方をしたいもの。でも、国際大会では全試合そういうわけにはいかないでしょう。

 たった1球で流れが変わる、ピリピリした試合も多くなるに違いありません。そんな緊張感のなかで生まれるスーパープレーもあるはず。無事に東京五輪が開催されたら、選手たちには1球の重みを感じさせる野球を見せてほしいですね。

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