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「衝撃度は間違いなく中田翔が一番」。名将もホレた投手としての才能【2020年度人気記事】 (2ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Sankei Visual

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 大阪桐蔭の西谷浩一監督が中田を初めて見たのは、中学2年の時だった。

「投げているところを見ましたが、中学生のなかに社会人がひとり混じっているような体つきにまず目を引かれて、次にスピードで驚かされました。そしてあらためて練習を見に行くと、バッティングもすごいということがわかって......これはとんでもない選手だと。これまでいろんな中学生選手を見てきましたが、衝撃度は間違いなく中田が一番です」

 大阪桐蔭の同級生からも、入学時の中田についてこんな話を聞いたことがある。

「広島から140キロを投げるピッチャーが来るという噂は聞いていて、入部前の説明会の時に『アイツだ!』と。ただ、周りのヤツとも『140キロって言っても、1球出たくらいやろう』って。そしたらブルペンで投げると、キャッチャーの岡田(雅利/西武)がちゃんと捕れなくて。それを見て『マジの140キロや』となったんです。ほんと衝撃でした」

 驚きはそこで終わらなかった。投球練習後、中田がティーバッティングに移った時だ。投手としての評判しか聞いていなかった同級生たちは、木製バットを軽々と扱い、次々とネットを突き刺すような打球を打ち込む中田のバッティングに圧倒された。

「『新外国人か!』っていうくらいの振りと打球。あの1日で僕らの代の4番とエースは決まりました」

 マウンドに上がるとゆったりした始動から柔らかな腕の振り。変化球もしっかりコントロールできる指先の感覚。打席に立てばスケールを感じさせる懐の深さと圧倒的なスイングスピード。

 1年夏から「松坂二世」「清原二世」と称された選手を見たことがなかった。少し時代が違っていれば"二刀流"の超大物として、ドラフト戦線でも大きな話題になっていたことだろう。

 そんな中田だが、1年秋はエースとして近畿大会へ進むも、初戦の北大津(滋賀)戦で13回を完投してのサヨナラ負け。翌年のセンバツ出場を逃した。

 2年春の大阪大会5回戦では、「高校時代のベストピッチ」と中田自身も振り返るピッチングで上宮太子を完封。自己最速の151キロを記録したが、この一戦で右ひじに痛みが走り、以降、投手としては苦しむこととなる。

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