2021.03.06

甲子園のベンチ入り人数増はなぜ実現
できない?指導者は「18→20」熱望

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 こうしたこともあり、翌年以降につながる流れができたのでは......と考えたというのだが、そうはならなかった。

「当然、冬に伸びた選手がメンバーに入ってきたり、秋のメンバーと顔ぶれが変わることはありますが、そこは選手も納得します。でも、ベンチ入りの枠だけの問題で自動的に2人外さなければならないというのは僕らもつらいですし、選手たちになぜ地方大会と本大会でベンチ入りの人数が違うのかという説明ができない」

 全国大会でのベンチ入り人数の推移を見ると、1928年から長らく14人が続き、78年夏から15人、94年春から16人となり、2003年夏からは現在の18人で続いている。近年は厳しい夏の暑さや、投手の肩、ヒジへの負担を考慮し、地方大会では夏に限らず20人のベンチ入りが認められ、定着するようになった。

 ただ、現在は各地方大会を見ても、少子化問題が大きく影響しているのか、20人に満たない人数で戦うチームも少なくない。ベンチ入り人数を増やすと、選手層の厚いチームとそうでないチームとの戦力差が広がるという指摘は以前からあり、このあたりは球数制限導入によって力のある投手が複数いるチームが優位になるという理屈に通じる。

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 とはいえ、選手の健康を最優先する今の流れのなかでは、甲子園大会のベンチ入りも20人とするのが極めて妥当な考えだろう。

 現場の監督、関係者らに「2名増」が実現しないことについて尋ねると、戦力云々よりも別の理由が返ってきた。

 あるベテラン監督はあっさり「お金の問題でしょう」と言った。

「僕らはずっとそう思ってきたし、ほかの理由が思いつきません。18を20にするのは、そんなに難しいことなんですかね」

 近年、大会入場者も目を見張る多さで、これだけの高校野球人気のなか、お金がネックとなって2名増が実現しないというのは、説得力に欠ける。しかし、現場から聞こえるもっとも多くの声はやはり「お金」なのである。