ソフトバンクにまだこんな投手が。尾形崇斗に漂う次世代エースの予感 (2ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Koike Yoshihiro

 昨秋のフェニックスリーグ。尾形は150キロ近いストレートで打者を圧倒し、高速フォークなのか、高速スライダーなのか、一見ストレートのような軌道から急激に曲がるタテの変化球で攻めのピッチングを披露。スピードはもちろん、ボールのキレ、いい意味での力感のなさ、高校3年に見た尾形とはまったく別人のようだった。

 そんな尾形だが、ウエスタンでも昨年は13試合、16回1/3しか投げていない。そのなかで16安打、16奪三振、10四球、防御率2.76の成績を残したが、まだまだ不安定なピッチングであることは否めない。それでも着実にボールは進化しており、まだまだ伸びる要素を秘めている。

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 ソフトバンクのファーム施設「HAWKSベースボールパーク筑後」を見学したことのある高校野球のベテラン監督が、こんなことを言っていたことがある。

「これまでプロ野球の施設をいろいろと見せていただきましたが、あれだけ充実した施設は見たことがない。体のどこの部位を鍛えたいと思ったら、そのための器具が必ずある。単にマシンが置いてあるだけのトレーニングルームではないし、選手をサポートするスタッフが何人もいるんです。

 これは聞いた話ですが、若い選手でも12月の契約更改が終われば帰省してしまうものなのですが、ソフトバンクだけはギリギリまでファームの施設で練習しているらしいんです。あれだけの施設があったら、そりゃ当然ですよね。そうした環境で練習しているから、選手も成長しますよね」

 千賀、石川、甲斐拓也、大竹耕太郎、周東右京......ソフトバンクの育成出身選手が一軍でポジションを獲得する時は、いつもサッと現れ、瞬く間に結果を出して、不動の地位を築き上げる。コンスタントに長続きする芯のある選手を育てる環境が、他球団とは明らかに違う。

 そんな最高の環境でメキメキと力をつけてきた尾形。「ソフトバンクにまだこんなピッチャーがいたのか......」という驚きが現実のものとなる日も近いだろう。

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