人的補償後の成績を左右するもの。藤井秀悟が指摘する「当事者の意思」 (4ページ目)

  • 森大樹●取材・文 text by Mori Daiki
  • photo by Kyodo News

 DeNAのスタッフとして働く藤井自身は、自分のキャリアを振り返って、トレード、FA、人的補償と渡り歩いた経験をプラスにできたと感じているのだろうか。

「僕は4球団でプレーして、最後にベイスターズに移籍したあとも3年は在籍できました。引退後に巨人の打撃投手をやらせてもらい、2019年にベイスターズに戻ってチームに貢献できていますが、結果として(人的補償で)選ばれてよかったですし、そうなるように頑張れたのかなと思います。たくさん移籍したからできた人脈もありました。少なくともベイスターズの裏方という道が開けたのは、あの時の人的補償があってこそですね」

 現在、藤井が担う"打撃投手を兼務する広報"という役割は、自ら希望して就いた役職だ。外部とのやり取りを通していろいろな人の考えを知り、自分の世界を広げられるのではないか、というのが希望した理由である。

 もともと藤井は、現役時代からブログを活用するなど、選手が積極的に発信することの先駆者でもあった。今も変わらず、求められる役割に徹しながら自分の色も出していく。サービス精神あふれる藤井が、広報としてどのような情報を発信してくれるのか、今後が楽しみである。

(つづく)

■藤井秀悟(ふじい・しゅうご)
1977年5月12日生まれ。愛媛県伊予市出身。1999年ドラフト会議で、ヤクルトスワローズから2位指名(逆指名)を受けて入団。2年目には14勝で最多勝利のタイトルを獲得。その後、日本ハム、巨人、DeNAと渡り歩き、通算83勝を挙げた。2014年に引退し、現在はDeNAの打撃投手と広報を兼務している。
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