32歳、澤村拓一が意外な人気のワケ。コロナ禍で気になる日本人のMLB移籍 (3ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Sankei Visual

 まさにそうして浮上したのが、澤村だ。MLBではフライボール革命が進むなか、三振をとれる投手は相対的に価値が高まっている。来年4月に33歳を迎える澤村だが、プレー面のトレンドには合致しているのだ。

 対して野手は、「数字だけではわからない部分が多い」と長谷川氏は語る。

「打球スピードや1塁までの到達スピードなど、目に見えるものは評価できますが、果たしてメジャーの97、98マイル(156.1〜157.7キロ)の球に対応できるのか。最近の成功例の少なさもあり、そこでためらう球団もあるかもしれません」

 日本のプロ野球はレベル的に"4A"とされ、今季OPS.825と好成績を残した西川が、メジャーで同様の数字を出せるかは不透明だ。

 さらに、MLBで2021年シーズン後に見直される労使協定が、日本人選手の移籍にも影響を及ぼすかもしれない。12月2日付けの「The Athletic」でエノ・サリス記者は、「4人目の外野手を必要としているチームは(西川に)興味を示すかもしれない。しかし、2021年のロースタールール(選手登録ルール)が確定される前に、ポスティングシステムで交渉したいだろうか」と記した(「Sarris: Six intriguing international veterans who could make the move to MLB」より)。

 1998年に導入されたポスティングシステムにより、イチローや松坂大輔など多くの日本人がメジャー移籍を果たしてきた。選手は最低9年の取得年数を要す海外FAより早く移籍でき、球団は譲渡金を手にできるというメリットがある。

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 ただし、ポスティングは「問題が多い」ルールと指摘されてきた。選手が好きなときに使えず、認めていない球団もあるからだ。日本の球団が外国人選手を獲得する場合は「自由交渉」だが、日本人選手がメジャーに行く場合は入札にかけられる点で整合性がとれていない。

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