日本ハムドラ1の伊藤大海はエースの器。野手では大型遊撃手がオススメ

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

チーム事情から見るドラフト戦略2020〜日本ハム編

 その年の「一番いい選手を獲得する」。それが日本ハムのドラフトである。今年なら、投手では早稲田大の早川隆久(左投左打)、野手では近畿大の佐藤輝明(右投左打)の評判がよく、人気を集めそうだ。

 しかし今年は、地元・北海道にすばらしい"逸材"がいる。苫小牧駒沢大のエース・伊藤大海(右投左打)だ。地元の逸材を逃してはならぬと、日本ハムは伊藤の1位指名を明言。北海道は盛り上がっていることだろう。

日本ハムが1位指名を明言した苫小牧駒大のエース・伊藤大海日本ハムが1位指名を明言した苫小牧駒大のエース・伊藤大海 伊藤は道南の鹿部町で生まれ育ち、高校は駒大苫小牧。北海道を離れたのは、最初に入学した駒澤大での1年間だけ。まさに正真正銘の"道産子"である。

 これまで北海道出身の投手で、はたして伊藤ほどの快腕はいただろうか。ドラフト1位で指名された北海道出身の投手で思い出すのが、1987年に大洋(現・DeNA)に指名された盛田幸妃だ。盛田は2015年に45歳の若さで他界したが、生まれ育った町は伊藤と同じ"鹿部町"で、ともに父は漁業従事者と、なんとも不思議な縁を感じてしまう。

 やはり地元にいい逸材がいれば積極的に獲りにいくべきだと思うし、それもファンサービスの一環ではないだろうか。

 その伊藤だが、150キロを超すストレートを続けられる優秀なエンジンを搭載して、スライダー、カットボールなどスピード系の変化球も一級品。あとはカーブに磨きをかけられたら、さらに攻略困難な投手になるだろう。近い将来、チームを背負って立つ存在になるような気がしてならない。

 投手は伊藤でいくとして、問題は野手だ。レギュラー人がそれぞれピークを迎え、そのあとを受け継ぐべき若手が難渋している。

 ディフェンスのキーマンである"遊撃手"は、名手・中島卓也のあとを5年目の平沼翔太でなんとか......と実戦経験を積ませているが、高校時代は投手で鳴らしただけにショート特有の敏捷性やキレに物足りなさを感じてしまう。

 ショートを守るために生まれてきたような選手──やはり"プロの遊撃手"には、そうしたスペシャルな人材が似合う。

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