宮西尚生「投げたくない時もあった」。北の鉄腕が語る折れない心の作り方 (2ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • 寺崎江月●協力 cooperation by Terasaki Egetsu

 もちろん結果が出ない時もある。しかし、その翌日にも試合は行なわれ、リリーフには登板機会が巡ってくるかもしれない。他ならぬ宮西も、何度も悔しい思いを味わってきたが、いかに気持ちを切り替えてきたのか。

「若かった頃は気分を紛らわせるため、試合後に外へ食事に出たり、打たれたことを考えないようにするために、いろいろ試しました。でも結局、何をやっても気休めでしかない。失った自信、信頼を取り戻すには、次に結果を出すしかない。最後はそこに行き着きました」

 続けて宮西は、救援を失敗した次の登板で結果を出すために、必ずやる作業があることを明かした。

「結果がよくなかった時こそしっかり反省をする。そこで大事なのは、『あそこでこうしておけば......』とは考えないこと。考えるのは、『何がダメだったのか』という失敗の結果に対する原因だけです。

 コントロールが甘かったのか、配球がまずかったのか、勝負する打者を間違えたのか、迷いがあるまま投げてしまったのか。そこをはっきりさせたら、結果については、『しゃあない』と無理やりにでも割り切って、寝る。反省することを反省したらあとは次の登板で結果を出す。それしかない」

 宮西は心を鍛える努力も地道に行なってきた。トレーニングにも工夫を加えている。「1年分働く体力を3カ月で作る」ため、オフに徹底して体をいじめるが、その期間、ひたすら同じメニューを繰り返す。この理由が斬新だ。

「リリーフは毎日、同じ準備をして試合に入っていく。その繰り返しです。そうすると、シーズンが進む中でマンネリ感が出てきて、そんなところから調子やコンディションが落ちることもある。だから僕は"飽き"に負けないために、あえて3カ月間、同じメニューを繰り返す。普通は、練習が単調にならないようにメニューを変えながらやるところを、あえて同じメニューで心を鍛えるんです」

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