巨人でカラを破れなかった選手たち。高田萌生は楽天で才能の開花なるか (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Kyodo News

 だが、巨人は同年のドラフト3位で大城卓三を指名。年齢もポジションもプレースタイルも宇佐見と被った。しかも、2位で当時21歳と若く有能な岸田行倫も指名。ドラフト会議の時点で巨人編成陣は打撃のいい大城を野手として期待していた節もあるが、結果的に宇佐見はあぶれる形になった。

 しかし、昨年6月に2対2のトレードで日本ハムに加入すると、捕手や指名打者として出場機会を与えられている。守備面は昨季の盗塁阻止率.400と健闘したものの、打撃面はいまだ本来の実力を発揮しているとは言えない。それでも、その豊かな才能の一端を見せつつある。

 FAで選手を獲得することが多い巨人は、人的補償で図らずも有望な若手を失うこともある。

 2013年オフには広島からFAした大竹寛を獲得したものの、一岡竜司を人的補償で失った。一岡は隠し玉的な存在だったアマチュア時代を経て、巨人が手塩にかけて育ててきた逸材だった。

 藤蔭高(大分)では故障に悩まされ、大学・社会人からの誘いがないまま専門学校の沖データコンピュータ教育学院に進む。同学院3年時に都市対抗野球大会でJR九州の補強選手に選ばれ、全国大会のマウンドを経験。それでも、華々しい実績とは無縁の素材を巨人は3位と好順位で指名している。2年間はおもにファームで登板機会を積ませ、プエルトリコのウインターリーグに派遣するなど英才教育を施した。

 それだけに、プロテクトから外したとはいえ開花寸前の時期に広島にピックアップされたのは痛恨だったに違いない。一岡はリリーフとして即戦力になり、2016年からのリーグ3連覇に大きく貢献している。

 2017年1月には、DeNAからFAとなった山口俊(現・ブルージェイズ)の人的保障として、高卒3年目を終えたばかりの平良拳太郎が指名された。

 かつての大エース・斎藤雅樹を彷彿とさせるサイドスロー右腕は、新天地で順調に成長。2018年、2019年と2年連続で5勝を挙げ、初めて開幕ローテーションに入った今季はもっか絶好調だ。4試合に登板して2勝1敗、防御率1.08(リーグ1位)という驚異的な成績(7月15日現在)を収めている。

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