ホークスにまたまた期待の新星。栗原陵矢がブレイクまでに6年を要した理由 (2ページ目)

  • 安部昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Koike Yoshihiro

 それが今年の宮崎キャンプで見た栗原は、まったく別人に変わっていた。威力のあるボールに対しても、インパクトで「パチン!」と弾き返せる小力(こじから)が備わったように見えた。

 肩と足はすでに一軍レベル。台頭の足かせになっていたバッティングでアピールし、6年目にして初の開幕スタメンを勝ち取った。

「2番・一塁」で出場を果たした栗原だったが、いきなり大ピンチがやってきた。ロッテの開幕投手・石川歩のピッチングが冴えわたっていたからだ。立ち上がりから150キロを超すストレートが両サイド低めにピタッと決まり、シンカー、フォークの変化球も自在に操った。

 そんな石川のピッチングについていけない。三振が2つ続き、やっとミートした打球は石川のグラブに収まりピッチャーゴロ。

 だが、ピッチャーが石川から3番手のジェイ・ジャクソンに代わった0対0の8回裏。一死二塁から栗原はレフト前に弾き返してチャンスを広げ、続く柳田悠岐の犠牲フライでソフトバンクは待望の先取点を挙げた。

 その後、同点に追いつかれるも、10回裏、二死二塁での第5打席。栗原は小野郁の149キロのストレートをセンターへ運ぶサヨナラ安打。大ピンチから一転、飛躍のきっかけとなるチャンスを自らのバットでつかんでみせた。

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