巨人・戸郷翔征の打ちづらさは天下一品。藤原、根尾らを子ども扱いしていた (3ページ目)

  • 安倍昌彦●文 Abe Masahiko
  • photo by Koike Yoshihiro

 そんな戸郷が今年、高卒2年目ながら開幕ローテーションの座をつかんだ。巨人では桑田真澄氏以来、33年ぶりの快挙だという。

 6月23日、今季初先発の広島戦。7回途中でマウンドを降りたが、4安打2失点7奪三振。見事なピッチングで今季初勝利を飾った。

 ストライクゾーンで勝負できる球威とコントロール、タイミングの取りづらさ、ベース上で激しく動くクセ球......どれもが一軍で戦っていくための"必須要素"である。

 7回、西川龍馬にストレートをライトスタンドの2回まで運ばれたが、あれは西川が持つ高度な技術のせいだ。それよりも注目したのは、ホームランを打たれたあとの戸郷だ。

 4番・鈴木誠也に対し、外のスライダー2つで追い込むと、148キロの高めのストレートで詰まらせショートフライ。つづく5番・メヒアにはフルカウントまで持ち込まれたが、目の高さからフォークを沈めて空振り三振に仕留めた。

 東京ドームなら、タイミングさえ合えば芯を外しても軽く放り込むスラッガーふたりに対し、恐れることなく腕を振ったからこその結果だった。

 テイクバックで腕を伸ばし加減にして、いったん固定してから一気にぶん回してくるスタイルは、打者にとってはタイミングを取るのが難しく、とくに右打者は抜けたら背後にボールがきそうで、踏み込むのをためらってしまう。

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