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【追悼】「代打・長嶋茂雄」の超サプライズ 西本聖の引退試合で起きたドラマ (6ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Sankei Visual

 ピッチャーの西本は、バッターの長嶋に渾身の1球を投げ込んだ。打たれたくなかったのか、打ってほしかったのか、長嶋は西本の投じた初球をいきなり打って出た。フルスイングから放たれた打球はボテボテの当たり。そのゴロを、サードを守っていた桑田が軽快に捌くも、革靴の長嶋が一塁へ全力で駆け込むほうが早く、間一髪、セーフ。長嶋に投じた100キロにも満たないストレートは、西本のプロ野球人生でもっとも遅い1球だった。しかし、野球人生でもっとも心が熱くなる一球でもあった。西本は長嶋に投げた"1球"を振り返って、こう話した。

「まさか(打席に)立つとは思っていなかったからね。想像もしていなかったし、まして私服でしょ。長嶋さんが私服で打席に立ったのは、あれが最初で最後だったんじゃないのかな。とにかくぶつけちゃいけないと思って真っすぐを軽く投げたんだけど、打ってもらったほうがいい、当ててほしいと思って投げたのは初めてだった。いま思うと、いろんな想いが込められた1球だったなぁ。成長させてもらって、テストを受けさせてもらって、引退試合に華を添えてもらった。長嶋監督で始まったプロ野球人生を長嶋監督で終わらせてもらって......感謝の気持ちでいっぱいの1球だったよ」

 試合が終わって、西本は長嶋と固い握手を交わした。陽が傾いた冬の多摩川グラウンドに、野球の神様が舞い降りた瞬間だった。

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