カープ史上最も愛された助っ人。
エルドレッドの引退に誠也も松山も泣いた

  • 前原淳●文 text by Maehara Jun

 成績もさることながら、チームに溶け込もうとする姿勢がチームメイトの信頼につながった。球団通訳も認める真面目な姿勢で日本語を勉強し、日本の文化にも積極的に触れた。遠征先にひとりで外出してもリフレッシュできるようになった。外野手同士の指示も日本語でやりとりし、年上の新井貴浩を「先輩」「新井さん」と呼び、日本の若手選手からは「先輩」と呼ばれた。

 また、広島の街を"ママチャリ"で疾走する姿は、ファンにとって馴染みの光景となり、街を歩けば人だかりができた。豪快さと脆さを併せ持つ、広島を愛する196センチ、126キロの大砲にファンは惹かれていった。エルドレッド自身も、新井がチームを表現した"家族"の一員なんだと自覚していた。

 リーグ3連覇を達成した2018年には、こんなことを言っていた。

「広島には新井、石原(慶幸)というすばらしいベテランがいる。彼らはチームのために何ができるかを考え、取り組んでいる。コーチから言われるよりも現役選手が体現してみせる影響は大きい。彼らに負けないように、自分もそういった姿を見せていきたい」

 引退セレモニーでも「私のチームメイトである兄弟たちへ」とメッセージを送った。2017年に甲子園球場でエルドレッドにおんぶされた鈴木誠也も、昨年から背番号55を受け継いだ松山竜平も、涙を流し感謝した。

 コロナ禍が終息すれば、広島の駐米スカウトとして第二の人生をスタートさせる。愛し、愛された第二の故郷のために、エルドレッドは"第二のエルドレッド"を探す役割を担っている。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る