給料未払いで裁判、GM逃亡...無名の日本人投手が体験した海外リーグの現実 (2ページ目)

  • 阿佐智●文 text by Asa Satoshi

 話を聞く限り、「大丈夫なのか......」とツッコミを入れたくなるが、断続的であれ、20年以上も海外のプロリーグでプレーし、昨年の冬も新たに立ち上がったグアテマラのプロリーグで3勝を挙げるなど、正真正銘の"プロフェッショナル"である。

 これまで安井は、カナダ、アメリカ、メキシコ、ニカラグア、グアテマラのプロリーグと、北米やベルギーのセミプロリーグでプレー。今シーズンも現役続行のつもりでいたが、その目論見も暗礁に乗り上げている。

 安井のプロキャリアのスタートは2003年、カナダでのことだった。専門学校の野球部からクラブチームにプレー先を求めていた安井は、意を決して渡米し、いくつかの独立リーグのトライアウトを受験。なかなかいい結果が得られないなか、この年「カナダ独自のプロ野球」を目指して発足したカナディアン・ベースボール・リーグのビクトリア・キャピタルズとの契約を勝ち取った。

「よくこのリーグをアメリカの独立リーグのひとつみたいに言う人がいますが、まったく違います。ここは正真正銘の"カナダのプロ野球"で、大きなスポンサーもついて、メジャー経験者には月給100万円近い給料が支払われていました。このリーグには日本人選手もたくさんいて、みんなそれなりの待遇でした。日本からのフライト代もちゃんと出してくれましたから」

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