千賀、甲斐は三軍から大化け。大道典良が明かすホークス育成法の秘密 (6ページ目)

  • 岡田真理●構成 text by Okada Mari
  • 寺崎江月●取材協力 cooperation by Terasaki Egetsu

 しかし、そんな絶好調の甲斐もリードに関しては経験値がまだ足りず、終盤モイネロや森唯斗が投げる時はベテランの髙谷裕亮が受けることになる。投手が誰であっても問題ない安心感を、甲斐はなんとか勝ち取らなければならない。とはいえ、あの素直な性格と、誰にも負けないハングリー精神、コツコツとノートに綴る生真面目さ、そして投手との会話を怠らない真摯な姿勢があれば、そんなものはすぐに身につけられると私は思っている。

 ちなみに、ホークスには「俺が千賀、甲斐を育てた」と主張するコーチがいない。現在、一軍から三軍まで3人の監督と23人のコーチが在籍しているが、支配下登録選手と育成選手全員において、成績を含めたあらゆる情報がミーティングで共有される。

 私は二軍の打撃コーチだが、一軍のスタメン選手から三軍の育成選手までデータ・映像・報告書の形で常に情報共有されるため、全選手の状態を大まかに把握している。ホークスにはこのような仕組みがあるため、コーチ陣は「みんなで選手を育てている」という感覚が強い。

 当然ながら投手は投手コーチが担当し、私のような打撃コーチは野手との接点が深くなる。各選手には担当コーチがいるので愛着のある選手も当然いるのだが、それでも私は「みんなで育てている」という感覚を強く持っている。それもすべて、ホークスの充実した情報共有システムと、選手ひとりひとりについてみんなで意見を出し合うコーチミーティングのお陰だと感じている。

(後編につづく)

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