平石洋介が明かすソフトバンクからのコーチ就任要請を受諾した真意 (4ページ目)

  • 田口元義●文 text by Taguchi Genki
  • photo by Kyodo News

 ただ、そういった前例は、平石にとってはまったく意味を成さない。「いちばんの決め手は興味があったから」。それに尽きると言わんばかりに、平石がソフトバンクからのコーチ就任要請を受諾した真意を明かす。

「毎年のように安定して結果を出しているチームを見てみたいというところですよね。ホークスは千賀(滉大)や(甲斐)拓也とか、育成から支配下に上がって活躍している選手が多いじゃないですか。一軍から三軍まであって、周りは『育成がすごい』って言いますし、あれだけの大所帯をどうやってまとめ上げているのか......っていうのは、実際に中に入って見ないとわからないんでね。そういう意味も含めて、ずっと興味がありました」

 この10年でリーグ優勝5回、日本一は現在の3連覇を含め6回。プロ野球屈指の「常勝軍団」の強さを、平石は楽天時代からまざまざと見せつけられていた。代表的な要素のひとつに、試合前の全体練習でのウォーミングアップがある。

 選手たちの隊列が整い、大きく張りのある声も揃っている。そして、一つひとつの動きにキレがあり、無駄もない。楽天の監督時代から、チームに「戦う集団たれ」と、試合前のウォーミングアップやシートノックから集中するようにと滾々と説いてきた男は、それまでの楽天になかったものをソフトバンクに見ていたのである。

 平石の言葉に熱がこもる。

4 / 7

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る