2019.08.10

日本ハム有原航平にエースの風格。
2つの球種が有効→投球術を変えた

  • 浜田哲男●文 text by Hamada Tetsuo
  • photo by Kyodo News

 8月9日時点で、パ・リーグ首位のソフトバンクと3.5ゲーム差の2位につける日本ハム。今季の開幕投手を務めた上沢直之が6月に左膝を骨折し、長期離脱を余儀なくされるトラブルに見舞われたものの、大きく下降することなく上位をキープ。流れが悪くなりそうなところを幾度となく食い止めてきたのが、投手陣の軸となっている有原航平だ。

リーグトップの11勝を挙げている有原 2014年のドラフトで4球団が競合し、日本ハムから1位指名を受けた逸材。今季は、その能力が本格的に開花したと言っても過言ではない。ハーラーダービートップの11勝(5敗)を挙げ、防御率2.29はリーグ3位。ほかにも、121奪三振はリーグ2位、QS率(※1)75%はリーグ3位、WHIP 0.92(※2)はリーグトップと、先発投手として文句のつけようのない成績で投手陣をリードしている。

※1:先発投手が6イニング以上を投げ、自責点を3点以内に抑えた時に記録
※2:1投球回あたり何人の走者を出したかを表す指標

 昨季はキャンプで右肩痛を発症。1軍復帰後も精彩を欠き、8勝5敗、防御率4.55、QS率50%と力を発揮することなく不完全燃焼に終わったが、今季は見違えるような投球を見せている。

 有原の一体何が変わったのだろうか。

 昨季と今季の球種配分を比較してみると、明らかに投球スタイルが変わったことがわかる。最大の違いは、昨季にはまったく投げていなかったツーシーム(投球全体の約9%)の存在だ。プロ入り当初は投げていた球種だが、ここ数年は制球の不安もあって封印していた。しかし、昨季の対右打者の被打率が.297と打ち込まれていたこともあったのだろう。今季は内角攻めの際に有効となるツーシームを解禁している。

 ツーシームは、今季初登板となった3月31日のオリックス戦から威力を発揮。有原は同試合で7回1失点(自責点0)無四死球と快投したが、オリックスの主砲・マレーロら右打者はツーシームに完全に詰まらされていた。開幕直後から”ニュー有原”を印象づけたことが、その後の投球にも好影響を与えた。

 4月28日のソフトバンク戦でも、唯一のピンチだった7回ノーアウト二塁の場面で、松田宣浩の内角にツーシームを投じてセカンドライナー。飛びだしていた二塁走者も刺して併殺を完成させた。ツーシームがあるだけで右打者は内角を意識せざるをえないし、ゴロを打たせて球数を少なくできるメリットもある。