赤星憲広がルーキー近本光司を分析。「私との決定的な違いがある」 (3ページ目)

  • 寺崎江月●取材・文 text by Terasaki Egetsu
  • photo by Kyodo News

――"スタートを切ることができる"とは?

「ランナーは、投手がセットポジションから投球動作に入った時に、実際に盗塁する・しないは別としてスタートを切る動作をするんですが、近本はそのタイミングがバッチリ合うことが多いんです。『そのまま行っちゃえばいいのに』ということも多々ありますよ。これは盗塁の成功率が高い選手に共通することで、西武の源田(壮亮)も抜群にうまいですね。近本が経験を積み、さらに技術が身につけば、盗塁を量産することができるでしょう。

 そのスタートのうまさは、守備にも生きていると思います。塁上にいる時のリードと守備時の構えはほぼ一緒で、左右に打球が飛んだ瞬間にいいスタートが切れています。前後の打球は判断が難しく、まだ不安な部分もありますが、クッションボールの処理や内野までの返球などはそつなくこなしている。これは私の持論ですが、足が速くても守備が下手な選手はいるけど、盗塁がうまい選手に守備が下手な選手はいないと思っています。近本がそれを証明してくれることを期待しています」

――赤星さんの期待どおりに活躍を続ければ、これも入団会見で宣言していた、盗塁王と新人王の獲得が見えてきますね。

「そこはぜひ目指してほしいですね。とくに盗塁王のタイトルは、かなりチャンスがあると思います。最大のライバルになると見ていた巨人の吉川(尚輝)が腰痛で離脱したことが一番大きく、2017年の盗塁王である広島の田中(広輔)も今季は出塁率があまり高くない。中日の大島(洋平)は年齢的にシーズンが後半になるにつれて体がキツくなるでしょうし、4度目のトリプルスリーを狙うヤクルトの山田(哲人)は盗塁数が30個に達したら打撃に専念するはずです。

 近本の能力、他チームの状況を見ても、舞台は整っています。強肩の梅野(隆太郎)にライバルたちの盗塁を阻止してもらいつつ、ケガなく1年を通して活躍し、意地でもタイトルを獲得してもらいたいです」

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