赤星憲広がルーキー近本光司を分析。「私との決定的な違いがある」 (2ページ目)

  • 寺崎江月●取材・文 text by Terasaki Egetsu
  • photo by Kyodo News

――たしかに、青木選手は右利き、近本選手は左利きですが、それが打撃面で何か違いを生むのでしょうか。

「右投げ左打ちの打者は、外角の変化球などで体勢を崩された時に、右手一本でボールを拾うような形になることが多いですよね。青木などの巧打者はそれでもヒットにできる技術がありますが、力ない凡打になってしまうケースも少なくありません。それに対して近本は、最後まで左手を離さずにバットのヘッドを返すことができますから、力強い打球を外野まで運ぶことができるんです。

 また、近本はバットにボールが当たる時に左手を被せる、よく言う"ヘッドを立てた"スイングをするので、打球がゴロになった場合にバウンドが高くなります。それが三遊間などに転がると、近本であれば内野安打にできる。ここまでチームトップの73安打を記録している要因のひとつですね」

――打撃面で課題を挙げるとしたら?

「プロ1年目としては十分すぎるほどの成績を残していますけどね(笑)。あえて、さらなるレベルアップを求めるならば、四球の数を増やすこと。二番打者の糸原(健斗)が38個なのに対し、近本は19個です。早いカウントから積極的に打つことが特長ではありますが、そこを突かれてボールゾーンから攻められ、ポップフライになる場面も散見されます。

 彼がハイボールヒッターであることも他のチームはわかっているでしょうから、とくに低めのボールの選球眼を磨きたいですね。それができれば四球が増えていき、自然と盗塁の数も多くなるでしょう」

――盗塁数はすでに16で、セ・リーグのトップを争っていますが、赤星さんから見た走塁の評価はいかがですか?

「今年の春のキャンプで初めて盗塁するところを見たんですが、『あまりうまくないな』という印象でした。しかし、そこから急激に進化して、開幕までにはだいぶ改善されていましたね。スライディングの摩擦が減りましたし、スタートを切ったあとにアウトになりそうな気配を感じたら、日本ハムの西川(遥輝)のように途中で帰塁できるケースが増えました。また、予想以上に"スタートを切ることができる選手"であることにも驚きましたね」

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