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ヤクルト石井琢朗コーチの珍練習再び。
ボールではなくバットが飛んだ (4ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Nikkan sports

 塩見は昨年オフに台湾で開催されたアジア・ウインターリーグで打率4割2分9厘の好成績を挙げ、首位打者を獲得。チームの期待も大きい。

「誰にも負けないのはスピードだと思うので、そこをアピールしたいです。そこを消さずに、まずは出塁率を上げていきたい。パワーは二の次です。飛ばすバッターは村上とか、ほかにもいますので......。出塁率を高めていくなかで、長打も打てますという形になればいいですね」

 この"バット投げ"の前には、体幹やボディバランスを強化するトレーニングメニューが組まれており、選手たちは地道な取り組みを丁寧に繰り返していた。

「選手たちには球際に強い打者を目指してもらおうと。それは体勢が崩されたなかでの適応力などです。そのためには下半身の粘り強さ、タイミングを崩された時にいかに粘ってバットを出せるか。早出練習ではそういうところを重要視しています。最初にも話しましたが、バッティングをするための予備運動なんです」(石井コーチ)

 石井コーチに「バット投げは、野球マンガの『ドカベン』で岩鬼がバックスクリーンにボールではなく、バットを放り込んだ場面を思い出します」と話すと、少し笑ってこう続けた。

「まあ、そうですね。まだ基礎工事の段階なので、そこまで夢は描いてないですけど......」

 若手選手たちの振る力と打球の強さは間違いなくアップしている。その成果をシーズンでも発揮できるのか。レベルアップした燕打線から目が離せない。

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