日本一も経験した3人のトライアウト。
彼らを突き動かすものとは...

  • 井上幸太●文 text by Inoue Kota
  • 繁昌良司●写真 photo by Hanjo Ryoji

独立リーグでプレーすることも視野に入れていると語る西岡剛(写真中央)独立リーグでプレーすることも視野に入れていると語る西岡剛(写真中央) 2010年に巻き起こった熱狂の中心にいた男が、もうひとり会場に姿を現した。「1番・遊撃」でチームを牽引した西岡剛(にしおか・つよし/前阪神)だ。

 この日は、ウォーミングアップでグラウンド入りした段階から、「ツヨシ~!」とスタンドから声援が飛んだ。キャッチボールでの1球、左右両打席で入念に、じっくりと行なうティー打撃の1スイングにも熱視線が注がれる。間違いなく、今トライアウトの"主役"だった。

 それを裏付けるように、すべての打席を終えた西岡のもとには、この日一番の数の報道陣が詰めかけた。

「野球を続けたいから。トライアウトはそれにつながるチャンスなので」

 参加の理由を端的に説明した西岡。続けて、現役にこだわる背景を付け加えた。

「これは野球に限らず、人生として、『選択肢があるならば、難しいほうにチャレンジする』という考え方をしてきました。ロッテからアメリカに行くもそうでした。日本に帰ってくる時も、色々な選択肢がありましたが、一番難しい、プレッシャーがかかる、と思い阪神に決断しました。今回34歳でクビになって、トライアウト参加者で最年長。野球を続けるのか、それとも引退するのか。難しいのは、当然、野球を続ける道だと思ったので......」

 結果は4打数1安打2三振。唯一記録した安打である二塁打は、日本一をともに味わった成瀬から放った。

「成瀬とはロッカーで会って、『思い切ってお互いにやるべきことをやろう』という話をしていました。今回こういう形で対戦することになって、打席からマウンドに立つ成瀬の姿を見ると、やっぱり思うものがありました」

 インタビューに答えるなかで、"古巣"への思いも吐露(とろ)する場面もあった。

「自分を育ててくれた場所。2回も日本一を経験させてもらって、WBCとオリンピックにも出させてもらいました。『最後はロッテのユニフォームで引退したい』という気持ちはずっと持っています」

 今後については、「野球を続けたいので」とNPB球団からのオファーがなかった場合、独立リーグも視野に入れていることを明かした。

 1年でたったひとつのチームにのみ許された「日本一」という栄光。燦々と輝く称号を得たチームの主力として活躍した3人の男たち。頂点から見た景色が、"野球人"としての彼らを突き動かしている。

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