投球は強気も打撃は弱気。カープの
アドゥワ誠は3連続被弾で覚醒した
広島カープのセ・リーグ3連覇を振り返る上で、欠かせない高卒2年目の投手がいる。2016年のドラフト5位で松山聖陵高校(愛媛)から入団した、20歳のアドゥワ誠だ。
父がナイジェリア人のハーフ投手としても注目されたアドゥワは、1軍で今季の開幕を迎え、4月4日のヤクルト戦で初登板。196cmの長身を生かした150キロ近いストレートと、多彩な変化球を武器にチームのピンチを何度も救った。1ポイント、ロングリリーフをこなす中継ぎとしてシーズンを戦い抜き、53試合を投げて防御率3.74、6勝2敗5ホールドと堂々の成績を残した。
10月17日から始まる巨人とのクライマックスシリーズ・ファイナルステージでも活躍が期待される"新星"の素顔とは。マウンドでの強気なピッチングとは対照的に、落ち着いた口調でインタビューに答えてくれた。
リリーフとして活躍した、高卒2年目のアドゥワ誠──まず、ペナントレースを振り返っていかがですか?
「本当にあっという間でしたね」
──高校3年の夏に甲子園に出場して注目を集めましたが、野球を始めたのは何歳からですか?
「小学校1年のときに、地元の熊本中央リトルに入りました。2つ上に野球をしている兄がいるんですが、その影響というよりも、家族に半ば強制的に連れていかれた感が強いです」
──その頃からピッチャーだったんですか?
「本格的にピッチャーをやるようになったのは中学生からです。それまでは、いろいろなポジションでプレーをしていました。当時はバッティングが大嫌いでしたね。相手投手の抜けた球が自分に向かってくるのが怖かったのと、ボールがバットの根っ子に当たると痛かったので(苦笑)。
でも、プロに入ってからは変わりました。プロのピッチャーはコントロールがいいですし、ピッチャーに対しては内角をえぐるような球がほとんど来ないので、恐怖を克服できました(笑)」
──カープにドラフト5位で指名され、入団してから苦労したことなどはありますか?
「指名を受けたときはとてもうれしかったです。まさかプロに行けるとは思っていなかったので。チームに入ってからは、『先輩方にどう接すればいいのか』ばかりを考えていました。」
──そんな中、お世話になった選手はいましたか?
「(ともに投手の)中村祐太さんと高橋樹也さんです。よく食事に誘ってもらいました。その席で、僕から野球について質問は一切しなかったですけどね。そりよりも、先輩たちとのコミュニケーションを大切にしていました」
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