パ・リーグMVPは山川穂高か浅村栄斗か。意義ある1票を投じてほしい (4ページ目)

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Jiji Photo

 だが、セイバーメトリクス的には「ラインナップ・プロテクションは存在しない」が優勢で、浅村も同意する。

「下位と上位は違うと思うけど、3番と4番、4番と5番など、中軸の前後のバッターはどのクリーンナップでも気は抜けないと思うので、ないと思います」

 一方、山川は前に浅村がいる影響を「ある」と言う。同じ右打者への配球をじっくり見られ、相手投手は浅村に気を配ることで、自分に失投しやすくなる場合もあるからだ。

 もっとも、この議論に答えはない。それでもあえて書いたのは、投票権を持つ記者にさまざまな点から判断してほしいからだ。なぜなら、打率や本塁打、打点などの数字は、ある一面の評価を捉えたものにすぎない。数字には現れない価値もあれば、数字だから雄弁に語れる事実もある。

 個人的にはもっとも優勝に貢献した選手という基準で浅村を推すが、山川はもちろん、秋山や最多勝候補の多和田真三郎も相応しい。他球団の選手だと考える記者もいるかもしれない。

 過去を振り替えると、取材をほとんどしていない記者が投票しているケースもある。MVP=年間最優秀選手だ。投票権を持つ記者はそれぞれの基準で「今季最高の価値がある選手」を吟味し、意義ある1票を投じてほしい。

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