畠山は引退危機から救われた。監督・コーチ・選手が語る「青木効果」 (2ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 石井琢朗打撃コーチは、今シーズンからヤクルトに加入。アイデアが詰まった練習法と、厳しい中にも愛ある指導でチームに活気をもたらしている。その石井コーチと青木のファーストコンタクトは、こんなやり取りだった。

石井コーチ「お前のやりたいように(ティー打撃のトスを)するから」
青木「いえ、みんなと同じやり方でお願いします」

 ふたりの練習はリズムよく進み、それが終わると"鬼コーチ"は「お前クラスの選手に何も言うことはないよ」と笑顔を見せた。

「バットマンとしてのモノが違います。打者としては当然ですが、僕個人としては精神的支柱としての期待が大きいです。実績と経験があってモノが言えるベテランというか......ヤクルトに来て、そこが一番足りないなという思いが強かったんです。カープにいるときは、新井貴浩や黒田博樹を見てきましたからね。チームが苦しいとき......もちろんコーチ陣の助言も必要ですが、選手同士のなかでまとめる力というのが大事なんです。今年から中村悠平がキャプテンになりましたが、チーム全体を少し引いたところから見渡してモノが言える存在って、絶対に必要なんですよ。青木には、中村を後押ししてくれることを期待しています」

 宮出隆自打撃コーチは、2004年から楽天に移籍する2008年までヤクルトの選手として青木とともに過ごした。

「打撃コーチとして手伝えるのは、練習につき合うぐらいですよね。宣親にはチームを引っ張っていってほしいと期待しています。選手側の意見を拾いあげて、僕に伝えてほしい。それを僕が、監督やヘッドコーチに『選手からこういう話が出ていますよ』と。いいチームをつくるために、橋渡しみたいなことができるといいですよね」

 福地寿樹二軍外野備・走塁コーチにも青木の復帰について聞いてみた。

「ウチのチームは、外国人投手のパワーとスピードに苦しんだところがあります。そこで青木がメジャーから戻ってきてくれた。強いボールやスピードへの対応、それに応じた練習の仕方も身につけていると思うんです。そういうアドバイスをしてくれると思うので、そこは大きいですよね」

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