鉛のベストで猛練習。ヤクルト秋季キャンプはリアル「スポ根漫画」だ (4ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by HISATO

「朝は早いですし、きついと思うことの方が多いですが、自分の身になっていると実感できているので楽しいです。だから、ひとつのメニューをやり終えたときに笑顔が自然と出るのだと思います。このキャンプでは、自分ではよくないと感じていた部分を『いいぞ』と言ってもらえたり、新しい自分を発見できています。バランスボールに乗っかってのティーバッティングは、ちょっと楽しんでいるところもありますね。あの練習での体の使い方を実戦でやったらどうなるかとか......いろんなことを考えながら練習しています」(谷内亮太/内野手/5年目)

「練習が始まる前は『今日もしんどいかな......』と思うんですけど、終わってみれば達成感の日々ですよね。体力もついてきた感じがあります。打球が強くなったように感じるか、ですか? まだそこまでは変わってないと思います。ただ、強く振り過ぎないなかで、打球が飛ぶようになりました。力で飛ばすのではなく、バットのヘッドを使って体の動きで飛ばすスイングができているのかなと」(奥村展征/内野手/4年目)

 キャンプ中、三塁側ベンチに設置されたホワイトボードで、当日の練習メニューと"今日のテーマ"が発表される。最終クール初日と2日目は「センターから逆方向」。3日目は「とにかく振れ! 振って覚える!」。4日目は「スイング軌道とミートポイント+バランス」と書き込まれていた。

 圧巻は3日目の午後、シート打撃のあとに行なわれた"ロングティー2箱"だった。8人の選手が横に一列に並び、いっせいにバットを振り始めた。ケース2箱に入ったボールは約260個。みるみるうちに外野のフィールドは白くボールで埋まり、各所から「うぉ~!」といううめき声が聞こえ始める。

4 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る