打たれても勝てます。楽天ベンチがCSで実践する巧妙な「内川対策」 (3ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Kyodo News

「長打だけは避けたかったですし、低めにキッチリと......でも、あの4回の場面は高く行ってしまったので、危なかったんですけど、ラッキーでしたね」

 高めの甘いボールを強引に打ちに出た内川は、ダブルプレーとなる最悪のサードゴロを打ってしまう。

 内川の第3打席は1点を返して1-3となっていた7回の先頭。マウンドには好投の塩見からバトンを受け継いだ2番手、フランク・ハーマンがいた。ここで内川は、ハーマンのアウトコースのスライダーをうまくライト前へ弾き返す。たとえばこのヒットがイーグルスにとっては織り込み済みだったのだ。イーグルスの行木茂満スコアラーが明かす。

「内川に関しては、シングルヒットはOKという気持ちでいっています。ライト前ヒットならいい。とにかく低めにボールを集めて、最低でもシングルに抑える。150キロを投げられるピッチャーは思い切り腕を振って、高くてもいいから速い真っすぐを投げる。スピードのないピッチャーは思い切り腕を振って、緩いボールを低めに集める。基本は内川に引っ張らせない配球を心掛けています」

 ところが9回裏、ツーアウトから打席に立った内川は、イーグルスの守護神、松井裕樹からレフトスタンドへ特大の一発を放つ。思い切り引っ張ったバッティングだった。行木スコアラーがこう続ける。

「あの場面は1点差だったらインコースはいっていない。差が2点あったので、インコースへぶっこんでやろうという判断でした。結果、打たれてはいますけど、ウチのピッチャーの状態もいいですし、攻めるべきところは攻められていると思います」

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