エースとは何か? 菊池×則本の投げ合いで蘇った「11年前の対決」 (5ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Kyodo News

 しかも則本、この一発のあともボールを思うように制御できない。4番の山川穂高に投じたフォークはいずれも低く、あっさり見逃される。6番の外崎修汰にはカーブが引っ掛かる、抜ける、決まらない。明らかにいいときの則本とは違っていた。イーグルスの行木茂満スコアラーがこんな話をしていた。

「則本はここ(西武ドーム)のマウンドと相性が悪いんですよ。マウンドが低くて傾斜がほとんどないから、フォークが落ちにくい。則本のフォークはストレートと同じ軌道からストンと落ちるのが持ち味なんですが、ここで投げるときには押し出すように投げざるを得ないから、相手バッターに見極められてしまうんです」

 初回は2点で食い止めた則本だったが、3回に崩れてしまう。アウトコースへのストレートをことごとくボールと判定され、リズムが狂ってしまったのだ。そうなると甘いところへ投げざるを得なくなるスライダーを、中村剛也に、炭谷銀仁朗に狙い打たれた。さらに秋山翔吾には151キロのストレートを逆方向へ弾き返され、源田にはフォークを拾われた。スライダーもストレートも、フォークも打たれて、則本はこの回、一挙に5点を失ってしまう。結局、この日の則本は、プロ5年目でワーストとなる6つの四死球を与え、奪った三振はたったの1個。4回105球、7失点でマウンドを降りた。以下は試合後の則本のコメントである。

「大事な試合で情けないピッチングをした。調子は悪くはなかったが、細かいコントロールがなかった。それがすべて。シーズンで結果を出しても、こういう試合で勝てなければ何もならない。試合を作れずに申し訳なかった」

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