エースとは何か? 菊池×則本の
投げ合いで蘇った「11年前の対決」 (6ページ目)
則本をマウンドから引きずりおろした時点で7点差がついており、ライオンズの首脳陣は先を見据えて、菊池に交代のタイミングを打診した。しかし、菊池は続投を願い出た。
「7点目が入った4回からは、あまり考えてもよくないとは思いながら、明日以降につながるピッチングができればなと思ってました。というのは、明日の先発の十亀(剣)さんは投げ方が僕とは真逆ですから、なるべく僕が投げれば、明日、角度が変わることになっていいのかなと思ったり......だから代わるかと相談されたんですけど、最後までいかせてくださいと言いました」
左のオーバーハンドの菊池が最後まで投げ続ければ、イーグルスの打線が翌日の先発、右のサイドハンドの十亀に目が馴れず、思うように対処できなくなるのではないかという菊池は、だから点差が開いても投げ続けた。菊池はイーグルス打線に一度として連打を許さず、ヒット5本、9つの三振を奪って、CS初登板を見事、完封で飾ってみせたのである。試合後、菊池はこう言った。
「(則本に)気持ちで負けないようにと思って投げてました。こっちが少しでもスキを見せれば、絶対、ギアを上げてくるので、点差が開いても絶対に(相手が)いけるかもしれないというスキを見せたくないと思ってました。シーズン中から、1本もヒットを打たれたくない、絶対に勝つと思ってやってますし、(CSだからといって)何も変わるところはなく、緊張もせず、むしろワクワクしながら投げられました」
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