エースとは何か? 菊池×則本の
投げ合いで蘇った「11年前の対決」 (2ページ目)
あれから11年。
斉藤、松坂の投げ合いに匹敵する、大一番での"エース対決"が実現した。防御率はリーグ1位と2位、勝ち星はリーグトップの16勝と、ひとつ及ばぬ15勝。そして奪三振は217と222――ともに200を超える三振を奪ったピッチャー同士のプレーオフでの投げ合いは、11年前の松坂と斉藤の対決以来のことだった。
2017年10月14日、パ・リーグのクライマックス・シリーズ、ファーストステージ第1戦。
リーグ2位のライオンズ、先発は菊池雄星。
リーグ3位のイーグルス、先発は則本昂大。
防御率、最多勝利を獲得した菊池と、4年連続で奪三振のタイトルを手にした則本が投げ合う舞台は、奇しくも11年前と同じ西武ドーム(現メットライフドーム)だった。そんなエース対決を盛り上げるのに、じつはこの球場はうってつけだ。今ではブルペンが室内に設置されているところがほとんどで、先発ピッチャーが行なう試合前のブルペンセッションをナマで観ることはなかなか叶わない。しかしここはブルペンが内野スタンドのすぐ前にあるため、一塁側で投げる則本、三塁側で投げる菊池を同時に視界の中に捉えることができる。
二人が同時に投げていたのは、試合前のわずか10分ほど。両サイドのブルペンで、それぞれのチームを背負うエースが、相手を威圧するかの如く、ミットを弾く心地よい音を立てている。野球好きにとっては至福のときだ。100メートルほど離れたところでボールを投げるお互いの存在を、彼らは緊張感が漂う空気の中で感じ取っていたに違いない。思えば今年、則本に『エースとは』と訊いてみたら、彼はこんなふうに言っていた。
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