ヤクルト真中監督しみじみ「幸せな時間は、勝って酒を飲む夜でした」 (3ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 甲斐啓二郎●写真 photo by Kai Keijiro

―― 小川泰弘投手についてお願いします。

「小川には本当にいろいろ注文をつけました。今年は、苦しんだこの2年間の経験が生きていますよね。ローテーションの軸として回る投手になってきたという感じです。右ヒジの疲労骨折によってシーズンが終わってしまいましたが、小川ならそれを乗り越えてくれるはずです。あとはキャッチャーの中村(悠平)ですよね。見ていると、意外と開き直ってしまうところがある。エース格の投手は上手にさばけるのですが、それ以外に対してはしつこくなれないところがある。どの投手に対しても根気強くリードして、チームの軸として投手陣を引っ張っていくキャッチャーになってほしいですね」

―― 監督退任と同時に、スワローズのユニフォームを脱ぐことになります。

「こうやって25年間もユニフォームを着ることができたのは、とても幸せなことでした。でも、僕のなかにはもっといろんなことをやってみたいという気持ちもありました。夏休みもゴールデンウィークもない生活でしたから。来年のことはまだ決まっていません。ひとりの人間として"野球"をスタンドから見てみたい気持ちもありますが、野球から離れてしまう寂しさもあるかもしれません。少しでも野球に携わることができればいいなと......」

―― 退任会見では「いい思い出はちょっとの時間で、苦しい時間の方が多かった」と話されていました。

「監督業は予想していたより大変な仕事でした。選手の頃は、若松(勉)さんや古田(敦也)さんが監督をされていて、苦しんだり迷ったりしている姿を見て『監督の好きにやったらいいですよ。あとはオレらがやりますから』って思っていたんですけどね。いざ監督になると、そうもいかなかったですね。いろいろな立場もあるし、思い切ってできないものなんですよ」

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