手術から1541日の空白。それでも荒木大輔は、もう一度投げられた (5ページ目)

  • 元永知宏●取材・文 text by Motonaga Tomohiro
  • photo by Kyodo News

──新しいチームで復活を目指した荒木さんですが、横浜では1勝も挙げることができないまま(0勝2敗)、ユニフォームを脱ぐことになりますね。

「ちょうど、ベイスターズも若いピッチャーが伸びているところでした。私はスピードで勝負していたピッチャーではありません。ボールのキレや変化球のコントロールも落ちていないと本人は思っていました。でも、評価をするのは他人です。『まだやれる』という思いもありましたが、引退を決意しました」

──荒木さんの通算成績は、180試合登板(先発116試合)、39勝49敗2セーブ、防御率は4・80でした。

「プロ野球選手として、ひと通りのことをやらせてもらいました。オールスターゲームでも投げたし、開幕投手も、日本シリーズの初戦の先発登板も任された。リーグ優勝もできたし、日本一にもなれました。プロに入ったとき、私はそんなことができる選手になれるとは思っていませんでした。プロ野球選手になることから逃げていたくらいですから。そういう意味では、自分なりに頑張れたんじゃないかな。

 ただひとつだけ、もう少しリハビリの期間が短ければよかったのに、とは思います。手術をして投げられない時期があったことで、いろいろなことを知ることができたのは私にとって本当によかった。でも、もう少し期間を短くすることができれていれば......登板数も増えていただろうし、勝ち星も増やせたかもしれません」

■荒木大輔(あらき だいすけ)

1964年、東京都生まれ。1980年、早稲田実業1年の夏に甲子園出場。出場できるすべての大会で甲子園のマウンドに上がり、12勝5敗という成績を残した。1982年ドラフト1位でヤクルトスワローズに入団。プロ通算成績は、39 勝49敗 2セーブ。現役引退後、西武ライオンズ、スワローズで投手コーチをつとめた。現在は野球解説者として活躍中。

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