お前が打たなきゃ誰かが打つ。カープ黄金期を予感させる圧倒的な選手層 (2ページ目)

  • 大久保泰伸●文 text by Ohkubo Yasunobu
  • photo by Kyodo News

 かつては新陳代謝があってもチームは低迷期を抜け出せずにいたが、近年は新戦力の台頭が結果につながっている。その理由は、選手層の厚さにある。

 今季でいえば、鈴木誠也が天才と評する西川龍馬、外野ではシーズン途中に育成から支配下登録され、驚異的な長打力を発揮したバティスタ。また、胃がん治療で離脱した赤松真人に代わる代走・守備固め要員としてその穴を埋めた野間峻祥など、多彩な顔ぶれが揃う。

 投手陣も中村祐太がローテーション定着のきっかけをつかみ、ルーキーの加藤拓也や床田寛樹もスポット的だがピンポイントで好投。リリーフでは故障から復活した中田廉や一岡竜司などの活躍も見事だった。

 主力選手の不在が致命傷にならない戦力は、安定した戦いを可能にした。開幕2戦目から10連勝し、交流戦後からは独走態勢に入り、終盤の勝負どころで9連勝と、まさに理想的ともいえる展開で連覇を果たしたが、必ずしも順風満帆のシーズンではなかった。

 昨シーズンは1度もなかった同一カード3連敗が3度もあり、その内容もシーズンの行方を左右しかねないダメージの大きいものだった。

 5月のゴールデンウィーク終盤に甲子園で阪神に3連敗を喫したカードでは、その2戦目に最大9点差をひっくり返される逆転負けを喫した。緒方孝市監督が「自分の責任。絶対に取らないとけないゲームだった」と語ったように、まさかの敗戦で、4月8日から守り続けた首位の座を明け渡してしまった。

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