伝説の豪腕・山口高志が藤浪晋太郎に見た「世界デビュー」の予感 (3ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Getty Images

 さらに山口氏が2つ目のポイントとして挙げたのが、右打者への内角球だった。左打者の外角球とコースは同じ球ではあるが、対打者を考えたとき、山口氏は右打者の"内"を強調した。

「やっぱり内角をどれだけ攻められるかですから。メジャーで活躍している日本人投手を見ても、やっぱり両サイドにきっちり投げ分けられる制球力を持っている」

 たしかに、ダルビッシュ有や田中将大をはじめ、上原浩治、岩隈久志、前田健太など、ボールのキレだけでなく高い制球力を備えている。昨シーズン限りで現役引退した黒田博樹もそうだった。

「藤浪と話したとき、『パワーではかなわないので、両サイドにしっかりボールを集めたい』と言っていました。そのなかで、インコースに強い球を投げ込むことが大事。藤浪が打者から嫌がられていた理由は、クロスに踏み込んで、内寄りに投げるストレートがいい具合にシュート回転していたことがあった。そこへ狙って投げ込めるか。ここがポイントでしょうね」

 2月19日の日本ハムとの練習試合では、右打者に内角のツーシームで2つの死球を与えたが、本番に向けての意識を感じる攻めだった。

 近年、藤浪の変化球はカットボールが軸になっており、特に右打者に対してはそのボールを生かすためにも内角攻めが不可欠になる。

 昨シーズン、藤浪が対右打者に対して最も被打率が低かったのが外角低め(.119)で、次に内角低め(.163)、そして内角高め(.186)となる。

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