中田翔、札幌ドームで3本からの脱却。「打ちたいよね、40本」 (4ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 そう苦笑いしながら中田は即答した。もし、もっとホームランの出やすい球場が本拠地なら40本を超えていても不思議ではない、と言うと、「30本は打てるかな」と控えめな反応を見せた。

「だって、オレ、2年前でやっと30本だよ。そう思うと、40本打つレアードはすげえよね。まあ、札幌ドームが大きいのは間違いない。あとセ・リーグだとナゴヤドームだよね。正直、『ホームでやる方が厳しい』というのはあるよね」

 ホームラン打者が、ホームランの出にくい球場で戦わなければならないというしんどさ。ほかの球場だとスタンドインする打球も、札幌ドームではフェンス直撃というのも一度や二度ではない。「あの広さが打者に与える心理が、また結果に大きく影響する」と中田は言った。

「狭い球場だと余計なことを考えずに打席に立てる。別に長打を意識したりしなくても、ある程度の角度さえつけば入るから。でも札幌ドームは、力んでしまう。それで余計にミスショットが多くなって......」

 ただ、30本塁打を放った一昨年は、札幌ドーム59試合で13本を記録している。その点からすれば、昨年の3本は自身の問題があったのかもしれない。そう考えれば、オフからの肉体改造、スイング強化の成果が楽しみになる。

「打ちたいよね、40本。ただこの世界は、体をバリバリ鍛えたから自信持っていけますとか、バットをこれだけ振ったから結果が出ましたとか、そういうのじゃない。それはWBCもシーズンも一緒。だけど、今年は自分でも驚くぐらいの成績を残したい。本当にいろいろと難しい1年になると思うけど、いちばん楽しみにしているのはオレだからね」

 はたして、さらなるスケールアップを遂げた中田翔に出会うことはできるのだろうか。10年目の戦いが始まろうとしている。

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