「WBCはテキトーにやりますよ」。中田翔がそう繰り返す真意は? (3ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

「単に体重を落としただけじゃなく、鍛えて落としたからね。その鍛え方も、今までと違うことにチャレンジして、体幹、股関節、骨盤を徹底的に意識した。よくバッティングで『軸回転でコマのように回りましょう』って言うけど、じゃあ、どうしたら回転力を上げられるのか。体のどこを鍛えて、どう使えばいいのか。トレーナーとしっかり話をして、一から考えてやってきたからね」

 アリゾナの一軍キャンプには帯同せず、沖縄・国頭村での二軍キャンプでスタートしたのも、徹底した振り込みを行なうためだ。それはつまり、WBC仕様の調整を悔いなく行なうための選択だった。

「体重が落ちただけなら、去年よりも飛距離は落ちる。でも、体重が落ちた分、回転力を上げることでカバーする。その結果、トータルで飛距離が去年以上になるかどうか。感じはいいよ」

 話を聞きながら、これまで以上の中田と出会えるのではないか、という期待が膨らんできた。WBCでの打席を考えても、スイングスピードや反応がアップすれば、飛距離増への期待はもちろん、動くボールへの対応力も増すのではないだろうか。ただ、本人の見立ては慎重だ。

「WBCに関していえば、『これだけやったから結果が出ます』という世界じゃない。あそこに出る選手は、みんなWBCに照準を合わせて万全の準備をしてきているわけで、そこでぶつかって結果が出るのか出ないのか。あの舞台は『気持ちで打てました』というレベルでもないと思っているし......。ただ、準備をやるだけやっておかないと勝負にならないから。だからやるんだけどね」

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