日本ハム・高梨裕稔「3年目の飛躍」をジョニー黒木は確信していた (2ページ目)

  • 高松正人●文 text by Takamatsu Masato
  • photo by Kyodo News

 そんな高梨も、昨年まで一軍での登板はわずか2試合だけ。山梨学院大時代から素質を高く評価されていたが、全国的に無名だった投手がここまで活躍できた要因はどこにあるのだろうか。高梨は言う。

「今年はすごく自信を持って投げられているというのはありますね。不安なく投げられています。1年目は二軍で投げるのも嫌になった時期があったんです。打たれすぎて......」

 たしかに、高梨の1年目の成績を見てみると、二軍で1勝8敗、防御率4.90と厳しい数字が並ぶ。責任の問われにくい新人といえども、大量失点と白星のつかない登板を重ねるのは、いつ心が折れても不思議ではない。

 転機は1年目のオフにあったという。打たれて失点しても前向きなチームメイトに感化されて、何事もポジティブにとらえるようになったという。

「打たれたとしても『自分はダメだ』と思うのではなく、『新しい課題が見つかった。成長できるチャンス』という感じですね。野球って、本当にメンタルのスポーツだと思います。マウンドで『打たれるんじゃないか』とか、『このボールは通用しないのでは......』といったマイナスのことを考えると、本当にその通りになる。だから、自分に暗示をかけるというか、ピンチになると『絶対に大丈夫』『今のボールなら打たれない』と声に出して言い聞かせるようにしています。結構、ブツブツ言っていますよ」

 そうして臨んだ2年目は、ファームで1年を通してローテーションを守り、11勝6敗、防御率3.38と飛躍を予感させる成績を残した。

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