ホークスOBが広島カープに贈る「優勝からCSまでの過ごし方」 (4ページ目)

  • 田尻耕太郎●文 text by Tajiri Kotaro
  • photo by Kyodo News

●柴原洋氏

 今年のカープは、逆転勝ちが多かったように、ものすごい勢いを感じました。優勝するチームというのは、逆転勝ちが多い。ひとりひとりが、がむしゃらに戦った結果でしょうね。

 04年を思い返すと、レギュラーシーズンで1位になったことでホッとした気持ちがどこかにありました。やはり長いシーズンを1位で戦い抜くことを第一に頑張ってきましたし、それがひと段落したという気持ちが大きかったですね。

 特に04年は、プレーオフ制度自体が初めてで、その重大さを認識できていなかったのかもしれません。本音は、「1位になったのに、なんでこんな戦いをしなければいけないんだ」という気持ちがどこかにあって、気分的になかなか乗れませんでした。

 調整自体もすごく大変でした。プレーオフまでの間は、シート打撃を中心に試合形式の練習をしていましたが、観客のいない静かななかでやってもしっくりこないんです。緊張感を奮い立たせようとしてもなかなか......。対戦している相手も味方のピッチャーですし、戦っているという感じがしないんです。いま思えば、練習のための練習でしかありませんでしたね。

 そうなると、試合の入り方がすごく難しかったですね。気持ちが差し込まれているというか、完全に雰囲気に飲まれていました。

 しかし、今年のカープはあのときの我々と違い、CSで戦った経験があります。今回は優勝してCSファイナルからという難しさはありますが、一度でも経験しているというのは大きいと思います。それに、現在は宮崎でのフェニックスリーグに参戦するなど、ポストシーズンの調整法も確立されていますから、意外とスムーズに入れるのかなと思います。

4 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る